建設業の勤務日数と勤務時間
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査」年度報より国土交通省作成等
解説
画像左側の「産業別年間出勤日数」および「産業別年間実労働時間」の折れ線グラフから、建設業の労働環境に関する現状が浮き彫りになっています。建設業の年間出勤日数は他産業に比べて高く、2020年度以降は減少傾向にあるものの、他産業と比べると依然として高い水準にあります。具体的には、建設業の年間出勤日数は約244日と、全産業平均の約232日より12日多くなっています。
また、年間実労働時間についても建設業は他産業に比べて長時間労働が続いており、年間総労働時間は約1910時間で、全産業平均よりも90時間長い結果が示されています。ここからは、建設業の労働者が他の業界に比べて長時間働いている現状が見て取れます。
次に、画像下部の棒グラフ「建設業における平均的な休日の取得状況」では、建設業の労働者が取得している休日の状況が示されています。このグラフから、建設業において「4週6休程度」の取得が最も多いことが分かります。特に民間工事の受注者においては「4週6休程度」が38.4%を占めており、休日が少ない状況が顕著です。また、「4週8休以上」の休日を取得できている労働者の割合は少なく、公共工事の受注者においては18.1%、民間工事の受注者では5.0%にとどまっています。これにより、建設業界の労働者が他産業と比べて十分な休日を取得できていない現状が明確になります。
さらに、右側の解説文にあるように、年間の総実労働時間について全産業平均と比べて建設業では減少幅が少なく、休暇の取得も他産業に比べて不十分であることが指摘されています。特に「4週8休以上」を確保できている労働者の割合が低く、全体の約44.1%が「4週6休程度」であるという点が大きな課題となっています。これは他産業において標準となっている週休2日制が建設業ではまだ達成されていないことを意味しています。
現状の課題と今後の対応策
建設業における労働環境改善のための課題として、まず挙げられるのは労働時間の短縮と休日の増加です。労働時間の長さと休日取得の少なさが労働者の疲労蓄積やモチベーション低下を引き起こし、生産性や安全性の低下を招く可能性があります。そのため、働き方改革を推進し、労働時間を削減する一方で、週休2日制の導入や「4週8休以上」の休日取得を推進する必要があります。
さらに、労働環境の改善には、効率的な工期の設定や適切な人員配置も重要です。これにより、無理のないスケジュールで業務を遂行し、労働者が十分な休息を確保できるようにすることが求められます。特に公共工事においては、より一層の取り組みが求められます。
建設業界の労働者がより良い環境で働けるようになることで、業界全体の持続可能性や競争力が向上し、若年層の就業意欲を高めることにもつながるでしょう。そのためには、業界全体での意識改革と具体的な施策の実行が急務です。
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