履行保証とは
具体的には、以下のような形で保証が行われることが多いです。
履行保証保険は、保険会社が、契約不履行が生じた場合に損害を補填する保険です。
これにより、契約を依頼した側が万が一、相手が契約を履行しなかった場合でも一定の補償を受けられるようになります。
公共工事と履行保証
公共工事における履行保証は、公共機関が発注する工事の品質や納期の確実性を確保するための重要な制度です。公共工事は国や地方自治体などの公共機関が発注するため、その安定性や信頼性が強く求められます。
したがって、契約を締結した企業が適切に工事を行い、工事が完了するまでのリスクに備える仕組みが必要です。このため、公共工事において履行保証が活用されます。
公共工事と履行保証の仕組み
公共工事での履行保証は、主に以下のような形で行われます。
履行保証保険
請負業者が契約に基づく工事を適切に履行できなかった場合に備えて、保険会社と契約するものです。万が一、工事が不履行となった場合、保険会社が損害賠償を行います。
履行保証の必要性
公共工事は予算が大規模で、地域社会や公共の利便性に関わる重要なインフラ整備を含むため、以下の理由で履行保証が特に重要です。
契約履行の確保
リスク管理
公共資金の保護
法的背景
日本における公共工事の履行保証は、国や自治体の法律や規則に基づいています。特に、公共工事に関する契約や保証の要件は「公共工事契約法」や「建設業法」などで定められており、これらに基づいて履行保証の制度が整備されています。
履行保証は、発注者と請負業者の双方にとって、リスクを管理し、公共事業の安定的な実施を確保するための重要な手段です。
履行保証保険と履行ボンドの違い
履行保証保険と履行ボンドは、どちらも契約不履行のリスクに備えるための手段ですが、性質や仕組み、関係する当事者に違いがあります。以下にそれぞれの特徴と違いを説明します。
1. 履行保証保険
◆ 特徴
契約当事者: 請負業者と保険会社の間で保険契約が締結されます。発注者は直接の契約当事者ではありませんが、保険の受益者となります。
保険料: 請負業者が保険料を支払い、その対価として保険会社が保証します。保険料の額は契約金額や工事のリスクに応じて決まります。
補償の対象: 契約不履行による損害や、工事が未完成の場合に発生する費用などが補償されます。
補償の範囲: 保険契約の内容により補償範囲が明確に規定されます。通常、工事の遅延や不履行などが対象です。
◆ メリット
保険会社の支払い義務があるため、発注者は契約不履行時に確実な補償を受けられます。
請負業者にとっては、資金的な負担(保証金の預託など)が少なくて済む場合が多いです。
2. 履行ボンド(パフォーマンスボンド)
◆ 特徴
契約当事者: 請負業者が保証会社や金融機関と契約を締結し、発注者に対して履行ボンドを差し入れます。発注者はボンドの受益者です。
保証金額: ボンドの額(保証金額)は契約額に基づいて設定されます。通常、契約額の一定割合(例: 5%~20%)が保証されます。
保証の対象: 請負業者が契約を履行しなかった場合や工事が不完全な場合に、保証会社や金融機関が発注者に対して保証金を支払います。
補償の範囲: 通常、履行ボンドでは工事の完遂に必要な追加費用や損害をカバーします。補償範囲はボンド契約により規定されます。
◆ メリット
発注者に対して確実な補償がなされるため、契約不履行時でも追加費用の手当てが可能です。
ボンドを利用することで、請負業者は資金を長期間拘束されず、工事に集中できるメリットがあります。
3. 主な違い
項目 | 履行保証保険 | 履行ボンド |
---|---|---|
契約当事者 | 請負業者と保険会社 | 請負業者と保証会社/金融機関 |
支払の義務者 | 保険会社 | 保証会社/金融機関 |
保険料/保証料の支払者 | 請負業者 | 請負業者 |
発注者への保証方法 | 保険会社が発注者に賠償金を支払う | 保証会社が保証金を発注者に支払う |
保証対象 | 契約不履行による損害 | 契約不履行による追加費用や損害 |
発注者の受益権 | 保険契約に基づく受益者 | 直接ボンドによる保証を受ける |
4. まとめ
履行保証保険は、保険会社が保証する保険の一種で、請負業者が保険料を支払って工事や契約の不履行に備える手段です。
履行ボンドは、金融機関や保証会社が発行する保証証書で、請負業者が契約を履行しない場合に発注者に対して保証金を支払う仕組みです。
どちらも公共工事や大規模プロジェクトにおける契約不履行リスクを軽減する手段ですが、保険会社を介するか金融機関を介するかという点で異なります。
事前に保険会社の審査が必要です。
公共工事に関する保険をご検討中の方は、
ぜひご連絡ください。
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